カラーシステム
Gaudiyが提供するコミュニティサービスのマルチブランド対応のカラーシステム設計。

Summary
2024年に行われたFigmaによるFrameworkというイベントに登壇した際に発表した、Gaudiyで構築したマルチブランドなカラーシステム設計のプロセスについてご紹介しています。
詳しくはこちらのnoteに記載しています。https://note.com/jirosh1998/n/n22d7c7cadc70
Background
Gaudiy のファンコミュニティプラットフォーム "Fanlink" は、漫画・アイドル・ゲームなど多様なエンタメ IP にホワイトラベルで提供される SaaS です。IP ごとに世界観が異なるため、コミュニティ単位でプライマリーカラーやテーマを自由に切り替えられる柔軟なカラーシステムが不可欠でした。さらに新規 IP 追加に伴い、ダークモード対応が必須となったことが今回のプロジェクトの発端です。

Issue & Goal
既存システムの課題
彩度・明度が低く、Shade が暗すぎて視認性が低下
コミュニティカラーが Hover/Pressed などの状態に適応しきれていない
WCAG2.1 を満たすコントラスト比が担保されていない
ダークモード未対応(Elevation レイヤー設計も未整備)
Tailwind 命名規則と噛み合わず、デザイナーとエンジニアの共通言語になっていない
カラースケール追加時の拡張ロジックがなく、運用負荷が高い

ゴール/仮説
IP の世界観に自然にフィットしつつ、Light/Dark 双方で AA 以上のアクセシビリティを確保
10+ 色相スケールをベースに、コミュニティごとにプライマリカラーを瞬時に差し替え可能
デザインと実装の命名規則を統一し、開発スピードを向上
3 か月で MVP をリリースし、次期大型 IP への導入を間に合わせる
Solution
リサーチ & ベンチマーク
Radix UI・Mineral UI・Ameba Spindle など 15 以上の事例を比較分析
WCAG2.1・Stripe/Shopify Polaris のガイドラインを参照
要件定義
5 つの必須要件: <ダークモード・コントラスト確保・柔軟性・拡張性・共通言語化> を合意
グレースケール設計
HSB 空間で BasePoint(400/500) を CR 4.5:1 に固定
EndPoint を 10%/90% Brightness に設定し、非線形(山なり)増減パターンで 12 step スケールを生成
Global → Semantic Color パイプライン
Global 色相 ×12step → Semantic Role (Background / Surface / Text / Object / Border / Overlay…) にマッピング
コントラスト自動検証スクリプトで全 240 色をチェック
10 色相スケール展開
既存ブランドカラーを基準に対照色相を抽出し、Light/Dark を同一ロジックで展開
命名規則 & Token 化
ui-element / role / state
の 3 階層を Figma Variables & Tailwind CSS 変数で同期例:
--object-primary-hover
実装 & テスト
Figma Component Library と StorybookAtomic を同時更新
主要 8 画面で A/B モックを作成し、社内レビューと Color Contrast Audit を実施
Result
アクセシビリティ: 全 UI 要素が WCAG2.1 AA (一部 AAA) を達成
運用効率: 新 IP のカラーテーマ追加工数を 90% 削減(1.5 日 → 0.5 日)
デザイン/開発速度: Tailwind クラス統一により PR 修正回数を 35% 削減
導入実績: リリース初月で 5 つのコミュニティに適用、月間アクティブユーザの平均セッション時間が +8.2% 向上
社外評価: Framework by Figma 2024 登壇資料として採択され、業界 400+ 名が視聴

